「本の断捨離」を加速させるためには、自分にとって本当に必要な本を限界まで絞り込むことにあります。
それはわかっているのだけれど、なかなか絞り込めません。
なぜか?
本の断捨離をやりきるには、自分の人生と正面から向き合い、限界まで自分を追い込んで、生き方を定めることが絶対不可欠。
これは、生やさしいことではありませんね。
ですが、私はそれをあえてこのタイミングでやろうと決意しました。
理由はわかりませんが、ラストチャンスだと予感しているのです。
私の生き方の軸を立てるために、どうしても必要だと感じて注文した本が届きました。この本を繰り返し読むことで、断捨離が加速すると信じています。
その本はこれ。古本ですよ。
「定本 高村光太郎全詩集」は、心が豊かになれる名著。
「定本 高村光太郎全詩集」。出版社は筑摩書房。1037ページという分厚さです。
高村光太郎が書いた詩のすべてが年代順に収録されています。その詩篇の数は、736篇にも及ぶのです。
文庫本になっている「高村光太郎詩集」は、多いものでも100篇をわずかに超える程度でしかありません。
ですから、高村光太郎の詩を本格的に読みたいと思ったら、この「定本 高村光太郎全詩集」を買うしかないわけです。
高村光太郎の詩は、青春期からずっと私を支え続けてくれている。
私が高村光太郎の詩を耽読したのは20代の頃です。
当時は今よりも貧乏で、何しろ家賃1万円の安アパートに長いこと住んでおり、このような豪華本を買うことなど無理でした。
そのかわり、当時、文庫本になっていた高村光太郎の詩集はすべて持っていました。
高村光太郎の詩によって、これまでどれだけ励まされ続けてきたことでしょうか。
高村光太郎の弱さ、愚直なまでの誠実さに惹かれます。
高村光太郎の弱さ、求道性、人間としての不完全さに惹かれます。
高村光太郎は、最愛の妻である智恵子を失った後、すべてを捨てて生きた人です。
すべてを捨てて、自分らしく生きた人です。
智恵子の死、それ以後の高村光太郎は、智恵子との愛を断捨離したわけではありません。
愛情などの大切なこと以外をすべて捨てて、自分らしくあろうと生きたのです。
人間の愚かさを受け入れ、見栄を捨て、心豊かに生きようとした高村光太郎。彼の姿勢はいつも私を励ましてくれます。
本物の良書は、人を断捨離へと導く。
今回、古本ではありますが、思い切って「定本 高村光太郎全詩集」を購入したことで、もう本は、よほどのことがないかぎり買わないでしょう。
これで「本を買うことを断捨離」します。
本物の本、自分の糧となる本があれば、生きていけるのです。
それ以外は、余計な荷物以外の何ものでもありません。
本物の良書は、断捨離に導いてくれることに気づきました。
先日ご紹介した、無着成恭の「詩の授業」、そして、高村光太郎の「高村光太郎全詩集」は、私に断捨離するように命じてくれたのです。
この詩集を熟読しながら、少しずつ本棚を埋めている本を断捨離してゆく予定です。
もちろん、この「定本 高村光太郎全詩集」は、死ぬまで断捨離することはないでしょう。
家宝レベルの本が手に入ったわけですが、床の間に飾るようなことはせず、徹底的に読み込みたいと、ワクワクしています。