「ミニマリスト」という言葉が当たり前のように使われているようですが、私にとってはまだ、しっくりと来ない感じが残っているのです。
今、この「ミニマリスト」なる言葉をキッチリと定義しておくことは有意義だと思います。
そこで、今回は「ミニマリストとは?」というタイトルでお届けすることにしました。
「実用日本語表現辞典」は「ミニマリスト」を以下のように説明してます。
ミニマリスト
英語:minimalist、minimalists「最小限」(ミニマル)を主義とする人、という意味の語。一般的には、余計な者を一切持たずに必要最低限度の持ち物だけ身の回りに置いて生活する人を指すことが多い。
この解説でもわからないこともありませんが、今回は私なりに「ミニマリスト」を概念規定(定義)してみたいのです。
「実用日本語表現辞典」の説明では、物資的なことしか出てきませんが、精神的な言葉として「ミニマリスト」をとらえたいと思います。
「ミニマリスト」とは、1つの価値軸をぶらさず、単純明快に生きる人のことを指す、と私は定義したいのです。
「断捨離」という言葉にも似た傾向があると思うのですが、「ミニマリスト」も反時代的な意味で発生した言葉だと私はとらえています。
いえ、本来、反社会的な性格を有しているのが「ミニマリスト」だと思うのです。
日本では戦後の好景気からずっと「消費は美徳」という言葉が象徴するように、とにかく、政治家、大企業、マスコミなどが団結して「何でもかんでも買ってしまいましょう」ということを大宣伝してきました。
一方では、戦後の貧困を体験した遺伝子は私たち日本人には組み込まれていて「物は大事にしましょう」という考え方が染みついているのですね。
捨てることを教育されていない人間が、猛烈な勢いで買い物をさせられるわけですから、もう、家の中は物であふれかえるのは、当然でしょう。
物だけでなく、情報もあふれかえり、企業はマスコミを使って、あらゆる欲望を刺激し、人にお金を使わせようとしてきます。
ですから、頭の中はぐちゃぐちゃで、自分の信念など持たず、常に欲望に振り回されている人間が多いことを、経済社会は歓迎しているとも言えるわけです。
そうした歯止めのきかない、ごちゃごちゃな生き方では、もうどうにもならないところまで来た。
また、物を買いあさるほどお金も稼げなくなってしまったので、断捨離やミニマリストなる言葉が勢いを得てきたと考えられます。
もう「消費は美徳」などという大嘘は信じないことはもちろんです。
そして、経済一辺倒の価値観で構築された「お金を使わせる、物を買わせる社会的な仕組み」を根本的に疑うこと。
さらには、自分自身の価値軸を打ち立てて、シンプルに生き生きと暮らそうという願いから、浮彫にされてきたのが「ミニマリスト」だと思うのです。
楽しく生きるために、過剰な物は要らないし、必要以上のお金も要りません。
経済至上主義、物資主義、拝金主義など、およそ、人間を幸福しないことを奨励して、経済社会を無理やり構築してきた日本。
それを可能にしてしまった背景として、マスコミの流す情報を妄信するという愚かさがあります。
もう、マスコミなどを信じないで、自分の美意識や価値観を大切にして、生き生きと暮らすために、エネルギーを集中させたいものです。
ただし、物を買わない、物を持たなくなれば、それで人生が楽しくなり、幸福になれるかというと、そうでもないので、その点については、機会を改めて考えてみたいと思います。